この本は4名の女性の実例を踏まえ、離婚を考える際に陥りやすい思考や行動に、法律がどう判断するのかがわかりやすく書かれています。
本書を読んで、何より感動するのは、著者である原口未緒さんの対応です。
「心の整理の仕方」が9割、「法律」が1割。と巻頭に書かれている通り、
4名の女性は、それぞれ違う離婚原因の中で、その事実をどう受け止め、自分が本当は何を望んでいるのか等、彼女からの提案や、質問で、徐々に整理され、
最後は、わだかまりもなく、スッキリした状態で次のステップに向かっています。
弁護士と言う仕事は、本来、法律を武器に戦略を立てる業務なので、
相談者の話を基に、法律上のコンサルティングをすればいいはず。
でも、彼女の行動は、弁護士の枠を超えて、
相談者の「心の整理」と「未来を見据えた」 対応を心がけている。
「心の整理」に重点を置いている訳
「心の整理」が重要と考えた理由は、彼女自身の3回の離婚経験にあります。
離婚の理由はそれぞれ違うものの、
相手が変わっても結婚生活が上手くいかないという事は、
自分自身に問題があるかもしれないと考えるようになり、
それから、様々なカウンセラーやコーチングの勉強をし、専門家の講習にも何度も通っているうちに、重要なのは「心の整理が9割」という考えに至ったそうです。
心の変化と共に、以前の「コンサルティング」業務から、
今の「カウンセリング」+「コーチング」+「コンサルティング」の形になり、「どうして離婚をしたいのか?」「離婚後どうなりたいのか」を明確にしてから、法律的な戦略を伝えています。
結果、離婚をしない人も増えた
弁護士として、仕事をする限り、裁判となり、相談者の要望をかなえれば、それが収入に繋がります。
でも、現在の「カウンセリング」+「コーチング」+「コンサルティング」の形になってから、相談している内に、気持ちが整理され、離婚をしない人も増えたとか。
そうなると、当然、収入は減る形になるのですが、
勢いに任せて、離婚してしまい、その後に後悔してしまうのだけは避けてほしい。
円満離婚弁護士として、カウンセリングでもコーチングでも、相談者が幸せになるにはどうしたらいいかを考える。
勢いでなく、離婚のメリットもデメリットもわかった上で、
「幸せになる為に何を選択するか」それを決めるのはやはり相談者自身です。
整理された心の状態で「自分で決める」という事に大きな意味があるのです。
3つの違いについて
【カウンセリング】
相談者の悩みを聞き、受け止める。具体的なアドバイスをしないことが多い。【コーチング】
相談者との対話をもとに、相手の自主的な言葉を引き出す。相談者が自発的に行動できるように導く。【コンサルティング】
相談者の課題を具体的に分析して、その課題を解決するための戦略を立ててアドバイスする。
私自身の経験
正直な話、この本を読みながら、離婚時にしてきた自分の対応が、
あまりに短絡的過ぎた事を、改めて回想する事になり、辛いと感じることもありました。
最大の失敗は、子供から父親を奪ってしまったこと。
当時は、様々な嘘の発覚や、不可解な行動、
話そうと思えば、今でも山ほど出てくる。
調停までしたけど、
無職の彼に請求できるものはないと、先に諦め、
「もう話したくない」が先立ち、冷静さを失っていた。
当時、彼女のような弁護士と出会っていたら、
私は、自分の感情だけに流されるのでなく、
娘の事をもっと考えて行動する事ができたと思う。
そして、
この本を読んでもう1つ気付いてしまった。
私は心の整理が、まだできていないのだと。
見ないように、思い出さないようにしていたけど、こじらせ離婚は、本当にその後の人生に影響を及ぼすのかもしれない。
彼はもう別の人と結婚して、幸せに暮らしている。
私とは水と油でも、調和する相手であれば、幸せになれるという事。
たかが過去、されど過去。
この本を読み、今更ながら、私もスッキリに向けて、再び心の整理に取り掛かかろうと思えた。
最後に
原口未緒さんとは、立花岳志さん・大塚彩子さん夫妻の講座で出会い、その後、岡部明美さんの2泊3日の草津ワーク等でも一緒に学んできました。
物腰柔らかで、人間味あふれる正直者。
あっけらかんと過去の話を面白可笑しく話せる彼女は、
「えっ本当に弁護士さん?」と聞きたくなるほど、お茶目で、可愛らしい女性です。
もちろん、色々あってこその、今の彼女。
「心の整理が9割」に至った、沢山の思いが、相談者の【今までとこれから】に新しい視点を気づかせてくれる女性です。
「カウンセリング」+「コーチング」+「コンサルティング」というスタイルが、
これからの人生に及ぼす影響は大きいはず。
何より、弁護士さんの中で、このスタンスで仕事をしている人は中々いません。
まさしく「この結婚もうムリ」と思った方、
そして、私のように既に離婚しているけど、何かすっきりしていないと言う方も
この本を手に取り一読してみる事をお勧めします。
(裏表紙の帯!こんな配慮もちょっと嬉しい)
そして、何か相談したい事があったら原口未緒さんへ連絡を。