
23年前のお正月、母とテレビを見ていた私に兄は部屋に入ってくるなり「あっ正枝、俺結婚したから」そう言いながら何事もないかのような顔で、別の部屋に移動して行った。
【!!??】んっ??今、けっこんって言った???
耳を疑いながら母の方を見ると、嬉しさを隠せないと言った顔で、静かに頷いた。
「どうゆうこと?いつ?誰と?何があったの??知ってたならなんで教えてくれなかったの?」
状況が把握できない私に、
母は「だって、言ったら夢から覚めちゃいそうで、、、」
当時、30代後半になっていた兄は、それまで、何度かお付き合いもお見合いもし、友人から紹介されても、首を縦に振らず、結局結婚には至らなかった。
俺は、この人だと、思った人と結婚したい。
そう言う兄に、周りの人は、夢ばっか見てんじゃないと呆れ、いつのまにか、「結婚は?」とは、誰も聞かなくなっていた。
そんなある日、友人に誘われたバスツアーで、ある女性と出会い、そこから、2ヶ月後にはスピード結婚。
兄は、出会ったその日にこの人だと思ったと言っていた。
様々な理由で、その時挙式はしないまま、その後、4人の子供達にも恵まれて、あっという間に23年。
そう言えば、母は、亡くなる寸前まで、⚪︎ちゃんにウェディングドレスを着せてあげたいと結婚式を願っていた。
母が亡くなってから13年、そんな願いもすっかり忘れていた今日この頃、兄から、突然のライン。
「9月に結婚式します」
「えっ???」
いつも突然すぎる業務連絡に戸惑いつつも、母の願いを思い出し、喜びが溢れる。
そして、挙式当日。

すでに23年共にいる二人。
神父さんからの言葉は、病める時も健やかなる時も…という誓いの後、互いへの約束として、向かい合い、
私は貴方を愛し、あなたの妻(夫)として、
これから先も、共に喜び、共に泣き、共に生きる事を誓います。
手と手を合わせながら、子供達や兄嫁のお母さん、そして、私達、親族全員の前で、泣きながら改めて誓いを述べるその姿に、胸が熱くなった。


23年一緒にいたら、もちろん、順風満帆とは言えない日々もたくさんあったと思う。
だけど、今までもそうしてきたように、これからも兄夫婦は乗り越えていくのでしょう。出会ってから23年目の誓い。兄夫婦のこれからも沢山の幸せあれ。