私の小さい頃の夢は「死ぬほどバナナが食べたい」だった。

今となっては笑い話だけど、あの頃、バナナは中々手に入らず、時々母が買ってきてくれた時の嬉しさときたら、「バナナだぁーーーーっ」と飛び跳ねて喜んだのを覚えている。

そして、父が採ってきてくれる、たけのこ、タラの芽、わらび、ふきのとう、ふき、こごみ、キノコなどの四季折々の山菜、

その中には都会では見ることができないキノコもあって、このキノコの美味しさは、家族みんなで奪い合いになるほど。

「今年も食べれたね。お父さんありがとう〜」「おいしい〜」と身体を震わせながら、両親に向かって満面の笑みを返す。

これほど、お互いを幸せな気持ちにさせる食材ってすごいと思う。

あの頃の食卓には、季節ごとの楽しみがあって、地球が与えてくれているものへの感謝と喜びがあった。

映画『食べることは生きるこ』

さて、いきなりバナナときのこの話で始まったけれど、そんな両親との思い出を語りたくなった訳は、

昨年末に映画『食べることは生きること 〜アリスウオーターズ』と

この映画の翻訳をした「小野寺 愛さん」のゲストトークショーに参加したからだ。

日本の農家が抱える課題、

愛情込めて作れば作るほど、売り上げには繋がらず、苦しくなっていく現状。

それでも、自然を愛し、オーガニック野菜にこだわり、作り続けている農家の方の思いがとても温かく、

彼らは、育てた野菜達の姿を「美しい野菜」と表現する。

なぜだろう。その言葉を聞いたら涙がでてきた。

この映画の主人公であるアリスさんはカリフォルニアにシェ・パニースというレストランをもち、一日に1メニュー、その日採れた季節の野菜を最大限に活かした食を提供している。

佐藤研一さんこと、サトケンさんは、そこを訪れ、レストランに入った瞬間、自然に涙が溢れてきたのだという。

地球と共に生きるということ。
命をいただくということ。
循環を感じるということ。

その中にある恵への感謝、人の温かさ。。。

言葉ではない思いが、心と身体を満たしてくれる。

そして、小野寺愛さんのブレない思いと聡明さ、世界を見てきたグローバルな視点が、これからの日本、これからの世界が目指す在り方を明確に示してくれていた。

季節関係なく、提供される食材は、もちろん沢山の人の努力が実った結果だとわかっていても、その季節でしか採れない野菜を味わう事の貴重さ、生産者の思いも感じられることの喜びは、やはり忘れたくないと思う。

あの飛び跳ねて喜んだバナナは、今やいつでもどこでも手に入り、

あるのが当たり前になった時から、その有り難さを忘れ、また、感動を求めて別のものに目も心も奪われている。

バナナ自体の美味しさも、価値も何も変わらないのにね。

今日はバナナを買って味わおう。

自然の恵みと、生産者に思いを馳せて。

※写真は、ご縁の杜の夕食。地元で採れた野菜を、「野菜の声」を聞きながら調理されているヴィーガン料理。

ご縁の杜では様々なイベントを開催中。

ココロとカラダが整う宿
湯河原リトリート ご縁の杜

神奈川県足柄下郡湯河原町土肥5-4-6
(電話)0465-64-0150
アクセス:JR湯河原駅 徒歩5分

ご縁の杜の名物おかみ、深沢里奈子さん(りなちゃん)
最近彼女の人生が本になりました。
「あけわたしの法則」天外伺朗 (著)

【本文の要点】深澤里奈子さんという旅館(湯河原・ご縁の杜)の女将が、天外塾の瞑想ワークで「実存的変容」が起き、崖から無謀にも「えいやっ!」と飛び降りたのですが、もう蛹ではなく蝶になっていたので、下には落ちずにふわふわと飛んでいったという感動的なドラマをお届けします。ドラマといってもフィクションではなく、生身の人間が現実に演じたドキュメンタリーです。

本もぜひ手に取ってみてくださいね。おすすめです(#^.^#)